明雅屋の感想

京大最寄の自転車屋です。一般車・MTB・油圧系修理が得意です。

ハードテールで思うところ 1

”自分が持っている仮説があるとする。

それの正しさを証明しようとする試みは「宗教的」アプローチである。

それよりも、仮説を否定する証拠を集めそれが間違っていることを証明する。反証を潰していくことが正解に近づける。これが「科学的」アプローチである。”

よく聞く言説ですね。

 

私はハードテイルバイクの場合、ロングストロークは必要ないと思っています。ここで言うロングストロークは160mm以上。

そして、私はベストは120mm〜140mmの間だと思っています。

120~140mmがベストという仮説が合っているか否かを判断するために、

いかに120mmストロークが素晴らしいかということを考えるより、

ハードテールの場合160mm以上が必要だという論を否定することから始めてみましょう。

使い切れるか否か?

そもそも、ハードテイルで160mmを使い切ることはかなり厳しい。少なくともトレイルでは不可能。できるとしたら、ゲレンデでハイスピード出した時くらい。

しかし、ゲレンデでハイスピード出す場合、フルサスの方が利点は多い。

トレイルでは

では、ゲレンデではなく自走アプローチをするトレイルの場合はというと、160mm以上あるとハンドル高が高くなるため、自走する際効率が悪く、登りはフロントが捲れやすくなるため登りや移動には向かない。

というか、登り返しのあるトレイルだと軽量になりやすいハードテイルの利点である軽快な登りができないばかりか、ロングストロークだとハードテイルの軽快な切り返しが出来ない。

トレイルで160mm使い切る?私の知っている京都の皆さんはトレイルにおいて安全マージンをとった上で走っておられるので、その速度域では160mm使い切るのは不可能に近いと思います。おそらくハイカーと共存する国内のトレイルでは同じ事が言えるのではないでしょうか。

つまり、ロングストロークを使い切るシチュエーションだと、わざわざハードテイルに乗る利点は少なく、ハードテイルが活きやすい自走トレイルはロングストロークだとその利点がスポイルされるということになります。

充足感?やった感?という認識

ハードテイルで走ると充実感というか、やった感が出るのは分かります。ただ、その際160mm要りますか?と疑問に思います。

私、トレイルの斜度がキツめと言われる京都で何年もハードテイルで走ってますが、140mm使い切ることは稀です。つまり、ハードテイルでやった感を演出する場合、多分140mmあれば充分だと思うのです。

極論を言えばフルリジットも。私は実際走って3倍濃縮ほどのやった感を感じました。

meigaya.hatenablog.com

120なのか140なのか

M605のフルリジットと120mmの2台

最近DAVOS 買った学生は、フルリジットで走ってます。

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まぁ、これはコレ。一部の例外ですね。

DAVOS M605は、前後29インチだと100〜120mmがベスト。140mmだとマレット。そんなフレーム。

DAVOS M605 120mmストローク

極論を言えばフルリジットでも走れますし、走ると充足感ややった感も演出できます。

meigaya.hatenablog.com

しかし、これは極端な例。万人受けはしませんし、いきなりフルリジットでトレイルを走らせてしまうと二度と乗ってくれない可能性もあります。

そのため、サスがあるのが前提。

では120か?140か?どっち?

トレイルのスピードでも度々120mmは使い切ります。140mmだと余裕があります。

また、140mmでも前輪に加重がかけやすい場合が多く、軽快なハンドリングも損ないません。

下りに自信がないけど少しでも楽しみたいなら140mm、下りの技術に少し自信があり登りも楽しみたいのなら120mm。良いとこ取りの130mm。

FOXの大島さんが記事にしていましたが、MTBブームはMARZOCCHI bomberZ1 130mmのころでピークアウトだったようですね。

 

最近自分で自転車を作るなら、、と考えると

29インチ120mm~140mm位までストローク、ロングリーチ、BB低めのクロモリハードテールが一番トレイルに向いてて、ぎりゲレンデも行ける一番中途半端なジャンルかと思っています。

中途半端なカテゴリーは好感が持てますからね。

今一番近いのはDAVOS M605かな。理想はBBもっと低くしたいから、やはり作るしかないのか。

 

この話は続く予定です