明雅屋の感想

京大最寄の自転車屋です。一般車・MTB・油圧系修理が得意です。

35㎜ハンドルバーについての感想

アクスルがクイックからスルーアクスルになりさらにブーストになったことも、リム幅がここ10年ほどで1.5倍ほど広くなったことも、それに伴いタイヤ幅もワイドになり、ハンドルバーの幅も10㎝ほど広くなったこともすんなり受け入れられたけど、ステムのクランプ径が31.8から35㎜に大口径化する流れはなかなか受け入れられない。

とりあえず、使用してみて自分なりの感想を書きます。明雅屋の感想なので。

 

35㎜径の利点

 一般論としてよく言われているのは重量と剛性に関してでしょうか。

その点を以下にまとめてみました。

  • 重量 

まずよく言われるのが重量面に関して。一般的に太くなると重くなりそうと思われるかもしれませんが、ハンドルは35㎜にすることにより薄く作ることが可能なため、31.8㎜に比べて軽量に仕上げることが考えられます。ただ、ステムのクランプの締め付けに対応するために中央を厚くする必要があるために場合によっては重さが変わらない場合があると思います。

  • 剛性

剛性と強度は直径の4乗で増加するので、明らかに剛性は上がるはずです。

しかし、剛性の増加が自転車の速さに直結するという考えは少し早計かもしれません。

クランクの剛性がペダリングパワーに影響するか否かの実験をみると、市販されている剛性が高いクランクと少ないクランクの差は300ワットで踏んだ時の差は1%以下。もしくはそれのさらに数分の1以下になるという結果が得られたようです。

ハンドルバーとクランクを比較するのは大いに間違っているかもしれませんが、早く走る為の自転車のパーツは剛性が何よりも正義、という考えを否定する材料になるかもしれません。

また、ブレーキやグリップが取り付けられる部分は全て22.2㎜径です。35㎜クランプの場合22.2㎜まで急激にテーパーをつけなければならないので、そこまで剛性を求めるのは難しいかもしれません。

 ※上記の実験は

blog.fairwheelbikes.com

を参照ください。

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Cannondale cujo 27.5+ アルミハードテイル

実走してみての感想

9万円台の完成車についていた31.8㎜径のステムとハンドル(アルミ)から、RACEFACEのRIDEステムとハンドルに変更してトレイルを走ってみました。

 

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ステムの突き出し50㎜ RACEFACE RIDE
  • 平地 登り

剛性はあまり感じないかもしれないという予備知識はありましたが、登坂時のダンシングの際や、平地のダンシングの際にしっかり剛性感を感じました。かなり感度が乏しいワタクシ前田ですが、ブラインドテストをしても判るほどには違いはあります。ペダリングで生じるパワーを対角線上に位置する側の手でしっかりと受け止めている剛性は安心感があります。例えるなら、元手の太い箸を持っているような安心感。

  •  下り

重要な下りの局面においてですが、剛性がポジティブに効いているかは微妙なところ。

ワタクシが今回使用しているのがアルミということも関係しているのかもしれませんが、今までよりはダイレクトに振動を感じます。(比較したハンドルもアルミ)

ポジティブに言い換えれば、サスの挙動を感じやすいや、コーナー時のハンドリングは狙ったところに入りやすい、と言うこともできます。

アルミより減衰性能が高いカーボンバーであれば、このバッキバキに効いたエッジをもう少しマイルドにしてくれるのかもしれません。

結論

つまるところ、多くのライダーが言っているようにハンドルの剛性、撓りには正解がない、ということかもしれません。好みの問題、と言ってしまうと身も蓋もないですが今後31.8㎜径という選択肢がかなり少なくなる、という予測可能な未来を考えると、早めに自分を納得させて35㎜に体をなじませる必要があるかもしれません。

ワタクシにとって、アルミ素材の35㎜は長距離のトレイルライドには少し不向きかもしれませんが、短時間で走るライドであれば自信をもってコーナーリングができますし、狙ったラインに通すのも少しは容易になるのでアリです。バイクの挙動を敏感に感じやすいのでサスペンションのセッティングを確認したいときにも有効なオプションです。

 

やはり、カーボンでの違いをやる必要がありそうですね。

次回、やる気があればやってみます。